瑞穂の国の野鳥たち

terra121.exblog.jp

我が家のアイドル ジョウビタキ

近所の貯水池で初めて見かけ、それから1月近くたってようやく我が家の庭にもジョビがやってきた。前の晩、この秋最大という寒気団が本州をすっぽり覆い、木枯らしが吹き荒れた。明け方には静まったが、冷え込みは一気に進み、いったん開けた窓を慌てて閉めるほどだった。その際微かに ヒッ ヒッという懐かしい声がしたのでベランダに出ると、近くの枝に雄のジョウビタキが見えた。
これが2007年最初の訪問だった。その日かその週末かは定かでないが、ウコッケイ小屋と梨とサクランボの間を何度も行ったり来たりして、急激に環境と人に慣れ、自由に撮影できる条件も整っていった。切株をハナミズキの近くに立て、近くには拾ってきたどんぐりの実を播いた。ハナミズキの枯れ葉がびっしりと積り、それらを一枚一枚ひっくり返して餌を探していた。切株の上にミルワームを置くと、ほぼ20分おきにやってきた。一通り観察してから、今度は少し窓を開け、デジスコでその姿を撮影した。1枚目はその時のものだったと思う。
飛来して10日ほどでなぜか♂が姿を消し、♀と置き換わっていた。あとから来たつれあいにこの場所を譲ったのか、奪われたのかは定かでないが、この♀も非常に人懐こくて可愛らしい。行動パターンも♂と似ていたが、一層人慣れてしていた。殊、カミサンにはほとんど警戒心を示さず、餌くれの際には数十センチ先の小枝で待っていたし、洋間の窓際までやってきて餌を催促することもたびたびだった。
ミルワームが好きなのはジョビだけでなく、ハクセキレイが頻繁にやって来て餌を横取りした。モズも後半何度かやってきてはジョビと睨めっこしていた。並ぶと大きさがかなり違う。横目で警戒はしているのだが、怖がるようでもなく、1m以内で向き合っている様子もしばしば観察できた。ジョビ♀はこれ以降春先までずっと近くにいて、たびたび顔を見せては楽しませてくれた。渡去の1週間ほど前、二羽の♂がやってきた。雌と知り合いらしく小刻みに尾羽を震わせ、聞きなれない地鳴きを発し、あたかも繁殖期の到来を思わせるような仕草をみせた。

渡去はいつも、しばらくしてからそれと気づくものだ。コミミやレンジャクに現を抜かし、留守にしているあいだに、いつの間にかいなくなっている。 その数日前、玄関先や窓際にやってくることもあった。また車で出かける前、すぐ目の前のサクランボの枝にとまり、こちらを向いてしきりに尾を振るシーンもあった。あの小さな羽根だけで、海を渡り生まれ故郷に戻るのかと思うと、やはり胸が熱くなる。できれば行ってらっしゃいと声をかけ、送り出してあげたい気がした。

ジョウビタキはどこでも見られる普通種だ。公園や河川敷などでもたくさん撮影しており、最も出番の多い鳥に違いない。ルリビタキにも近いが、森の中よりはやや開けた場所が好きで、人家の庭先や公園などに頻繁に現れ、ルリビとこの点で少し異なる。バーダーに限らず、人との触れ合いも多く、いくつものドラマを生んでいる鳥だと思う。♂♀外観も違い、冬の間は単独行動で、不意にやって来たかと思うと、突然姿を見せなくなったり、また現われたり、自由気ままにも思える行動は観察者の気持ちを引きつけ、心を癒してくれる。目線の高さを飛びまわり、しかも箱庭的な狭い範囲を行き来するので、いつの間にか顔を覚えてしまうし、気がつくと何かを施したり、顔を見せてくれるのを期待していたりする不思議な存在だ。ルリビタキが普段こちらに背中を向けているイメージなら、ジョビはしっかりこっちを向いている感じかもしれない。だから舞台は苔むした岩や深い森ではなくて、ちょっとした植え込みや、ブロック塀、花壇の柵などでいい。ここは避寒の場所。彼らが繁殖地でどんな環境にいるのか分からないが、おそらくそこでも広くて日当たりのいい場所を選んで営巣しているに違いない。決して深山幽谷で暮らすことはないように思われる。
だから・・・舞台など本当はナンセンスなのだ。木の枝1本庭の隅に立てておけばそれで十分だし、それが最も似合うはず。
e0261593_2028412.jpg
e0261593_20281690.jpg

by 667711 | 2012-03-19 20:31 | 地元・県内 | Comments(0)